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「Kindle Unlimited」ファーストインプレッション

「Kindle Unlimited」(以下アンリミ)がスタートした。

ASCII.jp:電子書籍読み放題の「Kindle Unlimited」が月額980円で日本でもスタート

月額980円で読み放題 日本版「Kindle Unlimited」提供スタート  – ITmedia ニュース

Kindle Unlimitedが日本でも始まったのでラインアップをいろいろ調べてみた:見て歩く者 by 鷹野凌

月額980円の読み放題Kindle Unlimitedの概要と現時点の簡易ラインナップ | ごりゅご.com

まずは、驚いた。

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「幼い頃や学生時代に読んだ懐かしい本、読みたかったベストセラー、手に入れることができなかった本」とある。この文面からは「最新の本、今話題の本がいくらでも読める」というメッセージはまるで伝わってこない。実際のラインナップを見ても、たしかにその通りだった。

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登録するまでは、どんな作品があるのかはよくわからない。「とりあえず30日無料だから体験して、中身を覗いてみよう」を促すための施策なのだろう。

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無料体験しても、そのまま放置しておくと自動的に継続になるらしい。Amazonプライムと同じ仕組みだ。だから、「まあ、いいや」と思うなら後ほど登録を解除しておかなくてはならない。

一応、登録しなくても、アンリミで読める本は確認できる。

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本を検索したときなど、ちゃんと「Kindle Unlimited」のマークが付いているのがわかる。また、ランキングの詳細ページなどでも、フィルターの条件としてちゃんと存在している。

全体が140,122。

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各ジャンルごとだとこう。

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一番数が多いのはコミックで、文芸・評論、アダルトと続く。アダルトは、アンリミで伸びるのではないかと予想されているジャンルだ。言ってしまえば、「最新」や「話題」は関係ないわけで、サービスの方向性ともマッチしている。が、まあ、そこを深掘りするのは止めておこう。

ともかく、登録して、適当に一冊選んでみた。

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当たり前のようにごく普通に読める。とりあえず、ここまでは悪くない。むしろ気楽で実にいい。中身のあたりはずれを気にしなくてもいいからだ。つまり、書店で気になった本をぱらぱらと立ち読みできる感覚がある。

とは言え、ラインナップは限られている。面白い本はあるが、かといってアンリミがあればもう本を買う必要はないとまでは言えない。あくまで、補佐的なサービスに位置づけられるだろう。

本を読む人のいろいろ

「本を読む人」を、グラデーションで眺めてみれば、まずまったく読まない人と、読むけど月に1冊か2冊程度の人であれば、アンリミには興味を示さないだろう。2冊読めばペイできるという計算は成り立つが、それにしてはラインナップが貧弱である。

逆にものすごく本を読む人は、すでに自分の本棚の未読本がアンリミ状態なので、これまた魅力を感じないはずである。ただし、「そうはいっても本は読みたい」という猛者もいるはずなので、完全に除外できるわけではない。

私が予想するに、この中間辺りの層にアンリミはアピールするのではないかと思う。そこそこの読書人。古い本でも厭わず読みたがる人。そういう人たちだ。

アンリミの雑誌のラインナップに、自分が読んでいる雑誌が数冊入っているなら、これはもうお得だろう。そういう本は毎月出るわけで、月額課金のアンリミとも相性が良い。この辺はしっかりとした需要がありそうだ。

後はコミックだ。コミックは、短期間でたくさん読了できるので、読み放題サービスとの相性は良い。現時点で、「これはぜひ」と思えるような作品は少なかったが、それが充実してきたら利用者も増えていくだろう。

ただし、もちろんそれはそれぞれの出版社の判断が関わってくる。アンリミに対抗するサービスが登場し、そこがコミックを充実させるなら、たぶんそれが日本における読み放題サービスの勝負を決定づけるだろう。

セルパブでは?

ちなみに、KDPの本は、KDPセレクトに登録してあれば、自動的にアンリミの対象になっているようだ。私の本のラインナップを見る限りはそうなっている。

で、これがセルフパブリッシングにどう影響を与えるかというと、現時点では影響は小さいと言える。というか、サービス利用者が増えないと影響など生まれようがないのは確かだ。

もし、サービス利用者が増えたらどうなるか。「本を読む人」の中間層がどわっと流れ込んでくれば、「ちょっと気になるけど、この表紙は……」みたいな感じで敬遠されているセルフパブリッシング本も手に取られる可能性があがる。つまり、新たな読者を確保する動線が生まれるわけだ。それを起点にしてレビューもつくかもしれない。総合的に見て、作品が発掘される可能性はあがる。

「しかし、売上げは……」みたいな心配があるわけだが、アンリミでしか読まれないなら、そもそも買われないので、心配は必要ないだろう。KDPセレクトに登録するものと、そうでないものをミックスする作戦もありうる。

アンリミに登録するためだけに、KDPセレクト(KDPでの専売)を選択する必要はないが、もし登録しているなら前向きな気持ちを持っておくといいかもしれない。

こぼれ話

上に関連するが、レビュー記事を書いてアフィリリンクで頑張っている人は、「作品を読むために使うお金」、つまりコストを一定に押さえられるメリットがあるのではないだろうか。

そういう人は、たくさん本を読んで、たくさん記事を書かなければいけないわけで、そういう人にとって、月額1000円以下で本が読み放題なのは福音だろう。もちろん、自分はアンリミで読んで、読者には購買を勧めるという少しいびつな形を取ることにはなるわけだが。

さいごに

私は、とりあえず自前の積ん読マウンテンが3桁を超え始めたので、アンリミを登録しても、うまくは使えないだろう。今後、Kindleで買おうとした本の5割ぐらいがアンリミ表示されているのなら、再登録を検討してもいい。

ちなみに登録解除は、アカウント情報からいける。

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