シリーズ第20弾。なかなか長い。それでもクライマックスが近づいている感触はある。
ふと、この巻を読んでいて気がついたのだが、いつのまにかこのシリーズはカタルシスヒーローものから、群像劇へとシフトしている。シフト、というと言い過ぎかもしれない。群像劇的要素を持ち始めている、ということだ。
中心的な主人公は、もちろんクロウである。でも、それはそれとして≪プチ・パケ≫のメンバーや、マゼンダ・シザーもそれぞれの物語を紡ごうとしている。
話が長引くにつれ、登場人物が増えることは成り行きとして当然なわけだが、その中でも掘り下げられたいわゆるサブ・主人公たちが登場してきており、それが話に厚みを与えているわけだ。同じ著者による『ソードアート・オンライン』シリーズとはやや異なる手法と言えるだろう。
川原礫 [KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2016]
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