ライトノベル。舞台設定は中世ヨーロッパ風で、その意味ではファンタジーでもある。が、その色合いはあまり濃くない。むしろドラマ的である。
パートナーを失った暗殺者と、異様なほどクッキー作りに固執する女の子。風変わりな設定ながら、奇妙な説得感がある。全体的に暗い話だが、ジメジメしたところはない。テンポも悪くないし、伏線もうまく効いている。読ませる作品だ。
ボーイミーツガールではあるが、そういう側面は強くはない。家族や絆の物語であり、仕事と信念の物語でもある。つまりは、いかに生きるのか、という話だ。
ちょこちょこ「ライトノベルのお作法」な場面も出てくるが、それはご愛敬といったところだろう。
寺田海月 [KADOKAWA / アスキー・メディアワークス 2016]
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