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『たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語 1巻』(サトウとシオ、臥待始、和狸ナオ)

村人ものではあるが、悲痛さはあまりない。というか、ギャクテイストが非常に強い作品である。

笑いを作りだすのは、主人公の無自覚さである。一般的に村人ものは、強さを求めるにもかかわらず、ステータス的に弱い村人の葛藤が描かれるのだが、こちらはステータスが強力なのに自分をただの村人だと思っている主人公のドタバタ劇である。

なにせ世間知らずなので、よくわからないままに問題を解決して、しかもそれを誇ることはしない。とは言え、力があることはたしかで、その力を巡る陰謀めいたものも当然起こりうる。

力と自覚とその責務が一体となって、はじめて調和が生まれてくる、ということを示そうとする作品ではないのかもしれないが、ついついそういうことを考えてしまう楽しい作品だ。

たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語 1巻 (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)

原作:サトウとシオ,漫画:臥待始,キャラクター原案:和狸ナオ [スクウェア・エニックス 2018]

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