フランスの作家が送るミステリ。殺人者の日記と、その日記を読んだメイドのジニーの日記が交互に提示される形式で進んでいく。強いて言えば叙述トリックだろうが、あまり書くとネタバレになるのでやめておこう。
本作のすごみは、「あいつが犯人かな」「こういうトリックだろう」と読者にさまざまに推測させながら、そのどれもがありうるようにギリギリまで話を進めていく手腕である。「もしかしたら……」がいつまでたっても消えない。トリッキーな構造を考えるだけでなく、その物語を支える叙述もまた本作の白眉である。
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