村上春樹さんを好んで読むが、村上龍さんもよく読んでいた。
いま見ると、すごい対談相手ばかりである。冒頭にある中上健次さんとの対談は、ハイコンテキストすぎて3割ぐらいしか理解できないが、それでも面白い。
読み返してみて興味深いのは庵野秀明さんとの対談(「何処にも行けない)」だ。村上龍さんの小説が、読者にイメージを強要する、という指摘は面白い。映画よりも映像的な小説。
もう一つ、エヴァは本来サブカルにしかならないという庵野監督自身の指摘も興味深い。あの作品に共感する人が多いこと自体が、この国で行き詰まりを感じている人が多いことの表れではないかと庵野監督は述べる。たしかにそうかもしれないし、そうではないかもしれない。
▼目次情報:
中上健次―存在の耐えがたきサルサ
柄谷行人―キューバ・エイズ・六〇年代・映画・文芸雑誌
小山鉄郎―『五分後の世界』をめぐって 日本は“本土決戦”をすべきだった
浅田彰―映画とモダニズム
奥村康―ウイルスと文学
渡部直己―描写こそ国家的捕獲性から自由たりうる
柄谷行人―国家・家族・身体
坂本龍一―ヴァーチャルな恋愛と鎖国化のシステム
蓮実重彦―残酷な視線を獲得するために
黒沼克史―女子高生と文学の危機 なぜ「援助交際」を小説にしたか
庵野秀明―何処にも行けない
河合隼雄―心の闇と戦争の夢
妙木浩之―日本崩壊
田口ランディ―引きこもりと狂気
小熊英二―「日本」からのエクソダス
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