「アトランティス・ジーン」シリーズの第一弾。
アンディ・ウィアーの『火星の人』と同じくセルフパブリッシング発ということで興味を持って読んでみたのだが、これはまあ、なんというか豪腕である。繊細な文体で緻密に世界を作り上げていく、といったものではなく、「これでもか!これでもか!」と力一杯に≪設定≫を投げつけてくる。刺さる人には、とびきり刺さる一冊だろう。私はもちろん刺さった方だ。
心配なのは、風呂敷を畳めるのか、ということなのだが、それとは別に、若干人物把握がしにくい。それは名前の対応が難しいということなのだが__これが何を意味するのかは読むとわかる__、その点が若干本作が抱える課題である。こればかりは仕方がない。その点を除けば、軽快な文体、慌ただしい場面の切り替わり、周辺をじわじわ埋めていくようなストーリーテリングと見るべきところは多い。
シリーズの第二弾、第三弾も気になるところだ。
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