『青い月夜の特別なこと』の続編。数年後の世界を描いている。
骨子となる登場人物は変わらないが、ストーリーテリングの形式が二人の一人称が交互に切り替わるスタイルとなっている。これは物語り的な必要に迫られてのことだろうが、それはそれとしてこの世界の立体感を浮かび上がらせるのにも貢献している。『青い月夜の特別なこと』よりも叙述がスマートで、陰影が深い。またテンポも良い。
謎解き要素もあるが、そのあたりは気にしなくても読んでいけるし、楽しめる。むしろ本作の魅力は、人間なるものと、人間ならざるものの交差点にあると言ってもいい。
最後は、しんみりと、しっとりと心に影を残して物語は幕を引く。まだまだ語られるべき物語の存在は予感されるが__マグザブはいったいどのように生きていくのだろうか__、それでも一つ満足のいく終わりではあった。
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