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『「クリエイティブ」の処方箋』(ロッド・ジャドキンス)

発想のための発想転換法といったところだろうか。あるいは、クリエイティビティの栄養ドリンクと言えるかもしれない。

全部で86個の考え方や心構え、ちょっとしたメソッドなどが紹介されている。一つひとつは小さくまとめられているので、パラパラ読むのには最適だろう。

著者は次のように書く。

クリエイティブな心構えは、何にでも適応できる。そしてあなたの人生のすべての側面を豊かにしてくれる。創造性というのは、電燈のように点けたり消したりできるものではない。あなたが置かれた世界を見る眼差しそのものであり、あなたが世界とどう関わるかという方法論なのだ。

まったくその通りだ。クリエイティビティというのは、常時発動のアビリティのようなものである。それは知覚する情報をどのように解釈するのかの傾向であり、知覚した情報をどのように加工するかの傾向であり、そこから生み出された新しい情報をどのように適用するのかの傾向なのだ。クリエイティブな人は、世界を対象として捉えている。もっと良くできる余地が残っている対象としてだ。彼らは、困難を見つけたとき、それを立ちふさがる壁としてではなく、乗り越えるべき壁だとして捉える。いや、「べき」という感覚は少し違うかもしれない。彼らは触発されるのだ。「さて、この壁をどうやって乗り越えてやろうか」と。

そのような捉え方で世界を知覚し始めると、少なくとも一つのことは消えて無くなる。すなわち、退屈との決別である。

▼目次データ:

イントロダクション/1.行動を起こすと、何かが始まる/2.生涯初心者/3.悪いのはミケランジェロである/4.扱う媒体の心を知る/5.他の誰かとして生きない/6.自分から行動を起こす/7.身も心も捧げる/8.災い転じて福と為す/9.無益なことの実益/10.他人と同じことを考えない/11.すべてはあなたの見方次第/12.常に何でも疑うこと/13.力不足を肯定する/14.自然の閃き/15.自分自身の権威にならない/16.石にかじりついても妥協しない/17.大量創造兵器になる/18.カップの気持ちになる/19.切り捨てる/20.歳を取っても老けるな/21.壊れていなければ、壊す/22.転んでも立ち上がる/23.挑まれたら挑み返す/24.発見する方法を発見する/25.心に残す/26.違いをデザインする/27.達人にならない努力/28.子どもっぽく振る舞えるほど大人になる/29.勢いに乗っていく/30.目標を持たないという目標/31.今という贈り物/32.心の扉を開いておく/33.頭を空っぽにして休む/34.事故を歓迎する/35.最高にできなければ、最低にする/36.保守的な変革者/37.死んでるものは生き返らせて使う/38.時間の使い方を自分に合わせる/39.答えを求めずに探求する/40.見過ごされたものこそ見つける/41.あるべきでないものを置いてみる/42.充足しない/43.自分に驚かせてもらう/44.転んでもただでは起きない/45.真実は爆弾だ/46.取りあえず決めつけない/47.自己満足を肯定する/48.敢えて度胆を抜く/49.無名という価値/50.改良の必要がないからこそ改良してみる/51.価値をシェアする/52.心に火を点ける/53.発見の仕方を発見する/54.自分が何を信じるのか考え抜く/55.何かを成し遂げるために何もしない/56.高尚から低俗までくまなく探す/57.借金してでも創造的に/58.意識を掘り下げる/59.絶望も楽しみに待つ/60.心で考える/61.カオスを持ちこんでみる/62.使えるものは何でも使う/63.作り直して、また作り直す/64.好奇心に興味を持つ/65.無名という自由/66.仕事と人生の完全なバランス/67.言うからには忘れさせない/68.実験するのではなく、自分が実験になる/69.チャンスを棒に振らない/70.喜んで自己矛盾する/71.冗談はほどほどにしない/72.地平線のそのまた向こうを見る/73.AからZ経由でBに行く/74.奥深く自分の中に潜る/75.即興で攻める/76.受け入れられなくていい、拒否されろ/77.最高に苛々される人になる/78.交配してみる/79.遊び心を捨てない/80.不景気のときこそ景気よく/81.自分を未来に投影する/82.心の檻から抜け出す/83.制約という箱を叩き壊す/84.学ぶために教える/85.日々過激であれ/86.自由を職業にする/エクササイズ

「クリエイティブ」の処方箋―行き詰まったときこそ効く発想のアイデア86
ロッド・ジャドキンス 訳:島内哲朗 [フィルムアート社 2015]

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