WRM
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WRM 2017/09/18 第362号

さて、WRM362号が配信されました。

冒頭の「はじめに」を公開しております。


最近、「インスタに最適!」「最高のインスタ映え!」のようなキャッチコピーを数多く見かけるようになりました。インスタグラムをやっていない人にとってはさっぱりですが、見栄えのよい、インパクトがある写真が撮影できる、という意味なのでしょう。

それはそれで別に構わないのですが、あまりにも多く見かけるので、そう遅くない時期に『インスタ映えする社会』(あるいは『インスタ映え化する社会』)というタイトルの新書が発売されるのではないか、なんて予想をしたくなってきます。

自分の好みや機能ではなく、インスタ映えするかどうかで商品の購入が決まる世界。それは記号的消費のもっとも最たる形であり、中身よりも外見が重視される世界であり(もっと言えばハリボテさえあれば十分な世界であり)、ラカンの言う「人は他者の欲望を欲望する」を地でいく世界でもあります。

問題は、その先に何が待っているか、ということでしょう。案外、何も変わらなかったね、ということになるのかもしれませんし、中身がないことの方が価値がある、なんて世界に突入していくのかもしれません。

それは結構不気味な世界です。

〜〜〜信頼性の獲得〜〜〜

以下の記事を読みました。

◇バリューを捏造するインフルエンサーは要らない – シロクマの屑籠

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 しかし、およそ彼が高得点をつけたワインには、“パーカーが高得点をつけそうな”美質が見つかる。そういう意味において、彼は信頼できるインフルエンサーだ。ロバート・パーカーには定見があると言える。評価がブレないからこそ、その人ならではの偏りがあったとしても信頼できる。
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いくつか読み取れることがあります。まず、何かを評価する人が、客観的な意味で「公正」である必要はない、という点。偏りはあっていいのです。ただ、その偏りが毎回同じように偏っていることが大切で、もしそれがキープされていれば、情報を受け取る人は、その偏りを計算に入れて情報を再評価できます。

たとえば、「倉下さんの紹介する知的生産系の本は面白いけど、ライトノベルの趣味はちょっと……」みたいなことが言えるわけです。これはこれで、情報源としての利用価値はあるでしょう。

しかし、なんでもかんでも褒めるとか、今アフィリエイトの紹介料が上がっているから紹介するのようなスタンスを取る情報発信者は、上記のような情報の補正が効きませんので、情報源としての利用価値が著しく下がってしまいます。

以上からざっくり言えることは、

・周りのことはあまり気にせず、自分の好みを語ろう。その方が役に立つ。

ということと、

・できるだけ継続的に情報発信しよう。その方が役に立つ。

ということの二つです。前者はわかりやすいですが、後者も案外重要だと思います。

たとえば、一つの紹介記事しかなければ、その人の情報をどのように再評価していいのかの取っかかりは見つけられません。五、十、十五……と数が増えてくることで、「この辺はOK、この辺はアウト」がわかるようになります。つまり、ある程度数を増やすことは、情報受信者にとっても有用なわけです。

もちろんその「再評価」には、「あいつは紹介料の高いものばかりを紹介しているから、信用に値しない」という形の評価もあるわけですから、数を重ねることは、一つの信頼を勝ち取るために必要な行為だとも言えます。

継続は信頼(の担保)なり。

〜〜〜本の遠回りさ〜〜〜

何をどう考えても、本を読むという行為は、「遠回り」な行為です。だって、いちいち文字を読んでその意味を汲み取らなければいけません。映像や画像なら、一瞬で済むところを、脳内でイメージを立ち上げるところからスタートするのが読書という行為です(だから頭が疲れているとまったく内容が入ってきません)。

よって、「役に立つ本だけを教えて下さい。それだけ読みますので」と請う人がいたとしても、その人はおそらく読書的な情報摂取はできないでしょう。ポイントは、読書による情報摂取ができないのではなく、読書的な情報摂取ができない、ということです。

効率に主眼を置く人ももちろん本は読めます。しかし、ある程度本を読んでしまったら(おそらくはビジネス書のそれなりに読み込んでしまったら)、そこからさらに本を次々に読んでいく、という段階には進まないでしょう。本に見切りをつけ、もっと「効率的」な情報摂取に移行する予感があります。

「本を読む」ことは、遠回りであり、寄り道であり、道草であり、ときどきは逆走ですらあります。

小説だって、実用書だって、情報のパッケージを成立させるために、枝葉なことがたくさん書かれています(『論理哲学論考』は例外としておきましょう)。そして、そういうことを読もうとは思っていなかったこととの出会いが、ときに自分の考えを大きく揺さぶってくれます。それは、一冊の本の中にもあり、書店の中での本との出会いの中にもあります。

リンクすること。セレンディピティー。横にスライドすること。壁を抜けること。

どんな表現を使ってもいいのですが、予期せぬ&未知との遭遇が本を読むことの面白さの一つであり、それは「遠回り」することでしか可能性が得られないものだとも思います。

おそらく私は、個人的な偏りによって読書という行為を好意的に持ち上げすぎているのかもしれません。でも、そうですね。偏っていて構わないのです。私は本を読むことが好き。それがスタートであり、そこからしか自分の道は進めなさそうです。

〜〜〜Who am I?〜〜〜

2017年3月に発売した『Dr.Hack』に感想記事を頂きました。

◇ストーリーで学ぶライフハック!「Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)」倉下忠憲(著) – 趣味人.com

ストーリーで学ぶライフハック!「Dr.Hack (Lifehack Lightnovel)」倉下忠憲(著)

たいへんありがたく、さらに一カ所面白い箇所がありました。

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 倉下忠憲さんってブロガーさんだと思っていたので、内容が小説でびっくり
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簡単に言えば、私が何をしている人なのかが、他の人からわかりにくい状態になっている、ということでしょう。

なにせ、「倉下さんて何されている方なんですか?」という質問に私自身が「文章を書いています」以外の答えを返せません。私が説明できないことを、他の人に期待するのは無理な話でしょう。結局、いろいろ手を出しすぎていて、まとまりに欠けている(発散しすぎ)なのが原因なのだと思います。

別にそれ自身は自分が選んだことだから仕方ないのですが、せめて何か「代表作」とも呼べるものを持っておきたいな、という気持ちは徐々に強まってきています。目標としては40歳になるまでに、(ある程度)胸を張って「こういうものを書いています」と答えを返せるようになっておきたいところです。

〜〜〜値上げ続報〜〜〜

以前お知らせしたとおり、2017年の10月分から当メルマガの値上げを実施させて頂こうと思うのですが、値段は700円台〜800円台を考えています。

現状からすると倍以上になってしまいますが、ちょっとだけ値上げしておいて、また時間を置いてから再び値上げ、みたいなことになるのはぜひとも避けたいので、ここは思い切って、「これでいける」と思える値段にさせていただこうと思います。

最終的な価格の決定は、9月最終号にてお知らせさせていただきますので、ご検討の方よろしくお願いいたします。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のストレッチ代わりにでも考えてみてください。

Q. あなたは何をされている方ですか?

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

目次

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2017/09/18 第362号の目次
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○BizArts3rd 「レビューにまつわるメソッド その2」
 タスク管理を掘り下げていく企画。連載のまとめに入っています。

○ノンマケ・マーケティング 「個人が取り得る手段」
 週替わり連載。マーケターでない人向けのマーケティング話。

○やがて悲しきインターネット 「情報の広がり、歩留まり」
 インターネット関係の話題について書きます。

○物書きエッセイ 「個のセルフパブリッシングのその次」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。


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