WRM
1

WRM 2017/08/21 第358号

さて、WRM358号が配信されました。

冒頭の「はじめに」を公開しております。


ゆえあって、ネットカフェのパソコンでこの原稿を書いています。

当然のようにOSはWindows(7)であり、日本語変換はMS-IMEです。

………
……

つ、使いにくい……。キーボードはペラペラで、ストロークが浅く、ショートカットキーを頻繁に間違えて、一発でカタカナに変換するボタンがどれだかわかりません……。

でもまあ、所詮は慣れです。最初はいらいらしていましたが、細かいところは後でMacで直せばよいと割り切って、単に言葉をそこに刻むことだけを考えるようにすると、問題はなくなりました。

で、考えてみると、Macで文章を書く場合でも、「単に言葉をそこに刻むことだけを考えようにする」態度(あるいは姿勢)というのは、結構大切だなと思います。

普段とは違う環境に浸ってみることで、わかることもありますね。

〜〜〜値上げについて〜〜〜

先週メルマガの値上げについて書いたところ、Twitterで好意的な反応をいただけました。ありがとうございます。

といっても、否定的な反応をわざわざツイートする人は少ないでしょうから、その反応が全体のどのくらいの割合を占めているかはわかりません。しかし、好意的に捉えてくださる方が、この世界に存在している、という事実がわかるだけでも、たいへんありがたいことです。なにしろ、値上げすることは不安で一杯ですので。

とりあえず、実際の値段については、またおいおい考えていきます。

~~~チェリーピッキング~~~

「チェリーピッキング」ご存知でしょうか。

◇チェリー・ピッキング – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0

 >>
 チェリー・ピッキング (英: cherry picking) とは、数多くの事例の中から自らの論証に有利な事例のみを並べ立てることで、命題を論証しようとする論理上の誤謬、あるいは詭弁術。
 <<

たとえば、私が「メルマガの値上げについてTwitterで好意的な反応を〈たくさん〉いただきました」みたいなことを書いて、あたかもそれが圧倒的多数の意見であると感じられるように誘導してしまうと、このチェリーピッキングにあたります。

同じように、株式投資やブログなどのある種のノウハウで「成功」した人たちばかりの話を集めるも同様です。同じノウハウを使って成功しなかった人の話がないかぎり、チェリー・ピッキングと思っておいて間違いないでしょう。つまり、プロモーション的文言のほとんどが、チェリー・ピッキング的である、という言い方もできるでしょう。
※論理学者はプロモーションが下手である、という命題について考えてみるのも面白そうです。

という風に、チェリー・ピッキングという概念を知っておくと、他人のそれに引っかかりにくくなる効能もあるわけですが、それ以上に、自分が同じ誤謬を犯さない効能の方が大切でしょう。

たとえば、何かを思いついたとします。「〜〜は○○だ」と。すると、すぐに意識は(あるいは無意識は)それに適合する事例を検索します。「ほら、Aもそうだし、Bもそうじゃん。やっぱり〜〜は○○じゃん」と。でも、これは明確なチェリー・ピッキングです。そして、そうやって作り出された信念は、たいてい脆くなります。

強度のある論理とは、反論を織り込んで形成されるものですから、「〜〜は○○だ」だと思いついたなら、「〜〜は○○ではない」という可能性に思いを巡らせることが欠かせません。それですぐに反論できるなら、その考えは却下して構いませんし、ある程度考えを進めることで、「△△においては、〜〜は○○だ」と限定的な条件を発見できることもあります。

いろいろなことを思いつくのは大切なことですが、そこから一歩足を踏み出して、「でも、待てよ」と自分で反論材料を捜してみることが、トンデモ論理を主張しないためのマナーと言えそうです。

~~~写経で勉強~~~

先日、短編小説の「写経」を行いました。「写経」とは、作家のテキストをそのままテキストエディタに書き写していく文章鍛錬法を意味します。

行ったのは、レイモンド・カーヴァーという作家の、「ダンスしないか?」という作品です(『愛について語るときに我々の語ること』収録)。

たまたまこの作品を読み返していたら、「この作品は、総文字数どのくらいなのだろう」と気になってしまい、一ページあたりの文字数から概算してもよかったのですが、実際にテキストを自分で打ち込めば、文字数も「測量」できるし、「写経」で勉強にもなって一石二鳥じゃん、と思った次第です。

私はだいたい2000字をひとつの記事の単位にしていて、このメルマガでよく書いているショートショートもだいたいそのくらいの文字数になっています。で、カーヴァーの「ダンスしないか?」は、約4000文字でした。おおよそ倍です。その2000字の違いがあるだけで、小説世界の広がり方はずいぶん違ってきますし、話の進め方のテンポも変わってくる──ということがよくわかりました。

「写経」を行うと、句読点の打ち方や漢字の開き方について実感的に学べるのですが、意識を向けているとストーリー運びや場面転換についても発見があります。書き写しながら、無意識では分析(あるいは解析)を行っているのでしょう。

もし文章力向上を願っているならば、自分の文章をコツコツ書いていくことも大切ですが、たまにはこういう「写経」を行ってみると、新しい発見があるかと思います。ぜひ好きな作家の作品でやってみてください。

~~~VALU~~~

◇YoutuberヒカルさんのVALU事件、いろんな方面に延焼中
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13149626.html

◇VALUをめぐるやまもといちろうさんと小飼弾さんのやりとり – Togetterまとめ
https://togetter.com/li/1141595

以前アカウントだけつくり、そのまま売りも買いもしていなかったVALUで、ひとつの事件が起こりました。

詳しい話はネット記事で探してもらうとして、やはりこの手の新しいサービスは難しいよな、と思います。緩やかであるがゆえに、悪意を持った人間がそれを利用して利益を確保できてしまう。ある種、インターネットがたどってきた歴史を、きわめて短い時間でなぞったのがVALUだったといえるのかもしれません。

しかし、それはそれとして、個人同士がつながれるサービス、お金の流れを変えるサービスは、これからの日本でも重要になってくるのではないか、という思いもあって、それを担うツールが出てくる、あるいはVALUがそのような役割を担ってくれる、という期待もあります。

ある程度VALUが盛り上がってきた中で、その流れに水を差す事件だったわけですが(悪名の方で知名度を上げてしまったでしょうし、似たようなことをたくらむ人間が今後集まってくることも想像できます)、それをリカバーできるのかどうか。ここが運営さんの踏ん張りどころだと思います。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、脳のストレッチ代わりにでも考えてみてください。

Q. 少数の権威者の決定でもなく、人気投票の結果でもない「賞」があるとすれば、それはどのような形になるでしょうか。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

目次

――――――――――――――――
2017/08/21 第358号の目次
――――――――――――――――

○BizArts 3rd 「すべきことの設定」
 タスク管理を掘り下げていく企画。連載のまとめに入っています。

○ノート道の歩き方 4
 週替わり連載。ノートについていろいろ書いていきます。

○Rashitaの本棚 『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』(東浩紀)
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。新刊あり古本あり。

○物書きエッセイ 「原稿書き以外の執筆作業」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。


メルマガにご興味ある方は、以下から詳細をどうぞ。

R-style » メルマガ

Tags:

One thought on “WRM 2017/08/21 第358号

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です