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WRM 2017/06/19 第349号

さて、WRM349号が配信されました。

冒頭の「はじめに」を公開しております。


先日、「のきばトーク」で話していたら、佐々木正悟さんから「倉下さんって、CtoCが多いですよね」という旨のことを言っていただきました。そういえば、そうです。改めて言われてみるまで全然気がつきませんでした。

というか、私の中では、「仕事」というのは「toC」なもの、という認識が厳然として存在しています。長らくコンビニ業界で働いていたというか、はじめての「仕事」がそうだったので、それがインプリンティングされているのでしょう。「仕事」というのは、(いわゆる)最終消費者に何かを届けることだ、という固定観念が強くあります。

だから、複数人のブロガーを集めて「雑誌」を作ろう、というアイデアは閃いても、複数人のブロガーを集めてその人たちをPR担当として使ってもらえるように企業にアプローチする、というアイデアは閃きません。それはそれで社会的利益があるのかもしれませんが、私の中の「仕事」のカテゴリーには入ってきません。

出版社さん経由で本を書くときは、もちろん出版社さんと契約を結ぶわけですが、そこには雇用主とか発注者という感覚はなく、あくまでビジネス・パートナーであり、クライアントは読者さんという意識を持っています。でもって、そういう意識がない出版社さんとはあまり仕事をしたくないな〜、という気分も持っています(多少傲慢かもしれませんが)。

結局のところ、仕事というのはお金を払ってくれる人にとっての価値(利益)を最大化させるために行われるものであり、誰がクライアントなのか、というのは仕事の成果にダイレクトに関わってきます。それは良い悪いの話ではなく、仕事としての基本です。

すべての人を満足させることは不可能であり、必ずどこかにはトレードオフが存在します。で、そのときに優先されるのがクライアントの価値である、というのは別におかしい話ではないでしょう。

だから、どれだけ本を売りたい気持ちが強いとしても、自作自演の高評価レビューをあげる人は、私は著者としては一切信用しません。読者にとっての価値を考えていない、ということですからね。これは別に厳しい批判というのではなく、単に私とはプレイしているゲームが違うのだな、と感じているだけです。プレイしているゲームが違う(≒そこにあるルールが違う)のですから、参考にはなりません。これまた基本的な話です。

toCの仕事というのは、規模も小さくなりますし、何かすごいことに関われるわけではありませんが、それでも、自分の財布を痛めてお金を払ってくれる人に価値を提供できるというのは、素晴らしい体験だと思います。少なくとも私の中では「仕事をしている」感が強く生まれます。

〜〜〜アクセス数の急上昇〜〜〜

先々週から先週にかけて、「手帳としてEvernoteを使う」という連載をR-styleで書いていたのですが、それが思わぬヒットをしました。R-styleはだいたい一日1000〜2000くらいのアクセス数なのですが、6000台をマークした日が出ました。びっくりです。しかし、そうして突出した数字が出るのも一日だけ。二日目、三日目はぐっと下がり、四日目以降は平常運行です。

とはいえ、アクセス数の棒グラフを見ていると、そのトップの日を基準に考えてしまい、それ以外の日のアクセス数がすごく少なく感じられてしまう感覚に気がつきました。バズりに味を占め、ブログの方向性が変わってしまう、というのは、おそらくその感覚に基づくものなのでしょう。気をつけたいところです。

〜〜〜連載だらけ〜〜〜

そういえば、最近連載ばかりを書いています。当メルマガは連載がベースですが、それだけでなく、シゴタノ!では「知的生産の五芒星」という連載を書いていますし、R-styleでも、上に書いた「手帳としてEvernoteを使う」や「ワンアウトラインの思想」という連載(というか連続)記事を書いています。

非常に感覚的な話になりますが、自分の「言いたいこと」の粒度がどんどん大きくなっているのを感じます。少し前に、「時間をかけて大きな思想を育てていきたい」という欲求についても書きましたが、断片的なもの、小さくまとまったものでは、自分の中の達成感を満たせない状況が生まれつつあるのでしょう。

それに合わせて、書き方・メディア・情報整理法もシフトしていく必要がありそうです。

〜〜〜RSSに登録する価値のあるブログか?〜〜〜

バズったアクセス数が、日にちが経つにつれ潮が引くみたいに減っていくのを見ると、常々思います。結局はリピーターが勝負なのだな、と。言い換えれば、「次回もこのブログに訪問してみよう」と思ってもらえるかどうかが勝負なのだ、と。

アクセス数の多いブログというのは、情報の普及力や広告効果という点ではたしかに力を持っています。しかし、アクセス数の多さを求める余りに、ヴォイスを欠いたような記事をアップし続けるのは、何かをしっかり届けたいと思っている人にとっては逆効果になるでしょう。

私は他の人のブログを見たときに、すぐに一つのジャッジメントを下します。「このブログをRSSリーダーに登録しておくかどうか?」

自分のブログも、他の人からみて登録しておきたいと思ってもらえるように運営していきたいものです。それは、単に登録者が増えることで、自分の(ネット的な)パワーが増えるから、というのではなく、そう思ってもらえる面白いコンテンツを自分は提供できたのだ、というのが確認できるからです。大切なのはそちらの方であって、数字は単にそれを確認するための指標でしかありません。

〜〜〜Honkureの効用〜〜〜

ブログの話を続けましょう。

Honkureというサイトに、本の紹介記事をアップし続けています。で、そのHonkureでこだわっているのは、紹介する本のバリエーションの広さと、タグ付けです。

一冊の本には、書誌情報に関するタグと、コンテキストに関するタグの二つが付けられます。コンテキストのタグは本によって付いたり付かなかったりするのですが、書誌情報タグはどの本にもばっちり付いています。

・『書名』
・著者・翻訳者・イラスト
・出版社・レーベル
・出版年

上記のようなタグです。

で、上記のタグを付けていると意外なことに気がつくことがあります。たとえば、最近紹介した『正しいセカイの終わらせ方』という電撃文庫の本のイラストは「ニリツ」という方が担当されています。

◇『正しいセカイの終わらせ方』(兎月山羊) – Honkure

『正しいセカイの終わらせ方』(兎月山羊)

で、「どこか聞いたことのある名前だな」と思って、自分の記事のタグをクリックしてみたら、過去に二冊その方が担当したライトノベルを買っていることに気がつきました。私は新しいライトノベルをほぼ表紙だけで買うので、おそらくこの方のイラストのテイストが私の好みなのでしょう。

おそらく本棚に、しかもバラバラに並んでいるだけではこの事実に気がつけなかったでしょう。タグ付けする(=データベース化する)ことではじめて見えてきた情報です。

でもって、このような情報の辿り方は、他の人が本の情報を散策するときにでも役立つのではないかと思います。

〜〜〜すぐに取り出せない箱〜〜〜

R-styleでここ最近書いていた連載は、これまでと少し違った書き方をしました。といっても、特殊な執筆法を用いたのではなく、原稿の管理法が少し違っているだけです。

これまでこうした連載(連続)記事を書くときは、エディタに一回分を書き、それをEvernoteに保存する、ということを繰り返していました。あるいはUlyssesやWorkFlowyを使って、既存の連載を一カ所にまとめるやり方をしたこともあります。今回チャレンジしたのは、そのハイブリッドです。

まず第一回分を書き、それをEvernoteに保存する。で、次の日には、その保存したノートを引っ張り出し、中身をコピーして、テキストエディタに貼り付ける。で、その下に続きを書く。書き終わったら、そのままそっくりコピーして、再び最初のEvernoteのノートに貼り付ける。そのようにして一つのノートに、全原稿を集めていきました。

私は1トピック1ノートを指針にしてEvernoteを使っているのですが、よくよく考えれば連載記事というのはその全体で1トピックです。だから、それをひとまとめにしてノートに管理するのがよいのではないか、と考えてこのスタイルをとりました。

<脱線>ちなみに私は、更新された記事はそのフィードをEvernoteに自動的に保存するIFTTTを設定しているので、上記のような原稿管理とは別に、1記事1つのノートも保存されています。多重アーカイブです

で、このやり方をやっているときに面白いことに気がつきました。

私は書き終えた原稿をすべて「象の墓場」というノートブックに保存しています。当然、一回分を書き終えた連載原稿ノートもそのノートブックに配置されることになります。で、次の日にそのノートを引っ張り出すわけですが、頭の中ではその原稿は「象の墓場」に入っていることはわかっているはずなのに、その他のノートを引っ張り出す場合に比べると、微妙なタイムラグが生じるのです。

「アイデアノート」「有料メルマガ」「プロジェクトノート」であれば、「それを使おうと思う」→「すぐに手が伸びる(マウスカーソルが所定の位置に移動する」、となるのですが、「象の墓場」の場合は、「えっと、どこだっけ」と一瞬なってしまいます。

しかし、たとえばinboxに入っているノートを「象の墓場」に移動させるときは、このようなタイムラグ(あるいは感覚のズレ)はまったく生じません。すぐさま手が動きます。

ようするに、私の認識の中で「象の墓場」はノートを入れる場所であって、ノートを出す場所ではないのでしょう。一方向の矢印しか示されていないわけです。だから、逆向きの行為をしようとすると、若干詰まってしまいます。おそらくそれは、青字で書かれた「赤」という文字の色を即座に答えるのが難しい、というのにちょっと似ている気がします。

人間の認知というのは、なかなか面白いものです。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のストレッチ代わりにでも考えてみてください。

Q. 「ブロガー」を定義してみてください。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

目次

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2017/06/19 第349号の目次
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○BizArts 3rd 「ルールその1」
 タスク管理を掘り下げていく企画。連載のまとめに入っています。

○SS 「ディープラーニング・ライフ」
 読み切りのショートショートです。

○艱難Thinking 「絶対ではない正しさ」
 週替わり連載。今週は少しディープめのエッセイです。

○やがて悲しきインターネット 「ブロガーとは何であったか」
 インターネット関係の話題について書きます。今回はブロガーについて。

○情報摂取の技術 「エゴサーチと書店」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。

○アイデア・パターン 022 「力学を見出す」


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