WRM
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WRM 2017/06/05 第347号

さて、WRM347号が配信されました。

冒頭の「はじめに」を公開しております。


6月2日に、大阪の梅田で開催された『勉強の哲学』刊行記念イベントに参加してきました。

◇【梅田本店】『勉強の哲学』(文藝春秋)刊行記念 千葉雅也氏講演会開催! 2017年6月2日(金) | 紀伊國屋書店
https://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Umeda-Main-Store/20170519093000.html

普段行くライフハック系のイベントとは、かなり毛色が違う印象で、若干私は浮いていたような気がしないのでもないのですが、内容はとても楽しめました。

いろいろ書き出すとキリがないので、講演を聞いて思い浮かんだ一つの疑問をを挙げておきます。

「人がノートを持つことには、どんな意義があるのだろうか」

勉強のための板書ノートではなく、自分の考えを書きつけるノート。自分専用のそうしたノートを所有することは、人にどのような作用を与えるのでしょうか。これは、想像するよりも大きな問題に感じられます。言い換えれば、ノート(あるいはそれに類する何か)を持っている人とそうでない人の違いというのは、単に文房具所有以上の差がありそうです。

これはまた、ノート論のところでじっくりを考えてみることにしましょう。

〜〜〜自己啓発書について〜〜〜

仕事柄(というかなんというか)「自己啓発書」についてよく考えます。

私は特定のタイプの自己啓発書をあまり面白くないな(婉曲表現)と思うのですが、それでいてそういう本が読まれている事実もあります。つまり、そのような本が満たしているニーズが確かにあるのでしょう。

で、そのニーズについてきちんと考えることは、自分が本を書く上でも重要ではないかと最近常々感じています。それは結局のところ「読者について考える」ことだからです。

「ああいう本が好きな人は僕の本を読まなくてもいいです」、という言い方もできなくはないですし、ある種のかっこよさもあるのかもしれませんが、私には逃げのようにも感じられます。なかなか難しいところです。

〜〜〜簡易の作業ログ〜〜〜

最近気がつきました。作業ログは簡素でいい、と。

一昔前は、きちんと文章の形で書き連ねていたのですが(そして、たびたび挫折していたのですが)、ここ最近はものすごくシンプルな記述に落ち着いています。たとえば、次のような感じです。

2017年5月31日 22:20
第二章はとりあえず終わり。続いて第三章へ。
2017年6月1日 21:12
第三章、タグとフォルダを。コンテキストは後回し。続いてざっと項目を書くこと。

これくらいシンプルであっても、大きな問題は生じません。別に課長に提出する報告書を書いているわけではなく、翌日の自分が見て、ざっと内容を(あるいはそのときの雰囲気を)思い出せればそれで十分です。

もし何か具体的に詰まった箇所や、大きな課題に直面した場合には、別途プロジェクトノートに記述すればいいのであって、毎日毎日のハイボリュームな作業ログを書くのは、手間の割にリターンの少ないものです。で、続かなくなります。

書き始めたときは、「こんな分量で大丈夫か」と思っていましたが、案外大丈夫でした。小さいながら有益な知識です。小有知(しょうゆうち)とでも呼びましょう。

〜〜〜ブックリンク〜〜〜

以下のようなツイートをしました。

◇知的生産方向のBooklink


※画像が本命なので、ぜひリンク先をご覧ください。

Honkureを作る前は、このように本と本のつながりを可視化できるようなウェブサイトを作ろうと思っていました。私の技術ではたいへん道のりが遠いことがわかったので、早々に諦めましたが、実際上記のようなブックリンクマップを作れたら、とても楽しいと思いますし、他の人が新しい本と出会う役にも立ちそうです。

本はひとりではありません。さまざまな背景的知識を元に書かれていて、しかもそのことがその後書かれる本との接続を生み出します。本を読む面白さは、そういう本のつながりを媒介とした知識のつながりに触れることであり、おそらくそのつながりは、著者自身がまったく想定もしていなかった本との接続を含んでいるはずです。

というわけで、Honkureにて上記のような画像をアップしていくかもしれません。これはこれで楽しそうです。

〜〜〜ネットのわるいところ〜〜〜

監獄実験→人はあたえられた役割をこなそうとする
集団心理→他の人と協調行動をとる。あるいは一人では犯さないリスクを冒す
ピグマリオン効果→他者からの期待が、その人のパフォーマンスに影響する
フィルターバブル→入ってくる情報を自分好みのものだけにする

これらの効果が一つに集まり、排他的・敵対的なグループを形成したら、凄まじいことが起こりそうです。それが今のネットが抱えている大きな闇なのかもしれません。

〜〜〜思考のパターン〜〜〜

あるときふと、「メソッドとパターン」というフレーズを思いつきました。

ある種の人々は、情報処理を行う際に、そこにあるメソッド(方法)に注目します。別のある人は、複数の要素からパターンを見出すことに注力します。きっと、このような傾向は他にもあるでしょう。

と、考えて、{メタ、メソッド、パターン、ルーリング、アレンジ、…} といくつか思いついたのですが、まさにこうして並べること自体が「パターン」ですし、「まさにこうして並べること自体が「パターン」です」と書いていることはメタです。やはり、そういう性質というか、思考の傾向はたしかにありそうです。

思考法というものを、こうしたパターンで記述したものは実はあんまりないのではないか、という気持ちになってきました。もし、そういう本があったらぜひ教えてください。なければ、私の「企画案」ノートブックに項目が一つ増えることになりそうです。

しかしメタな本になりそうですね……。

〜〜〜フリーランスになる〜〜〜

以下のツイートを見かけました。

 >>
 フリーランスになる前にやっておくことを貯めるとなかなかなれない。これからうんと後悔するかもしれないけど、これが自分の人生なんだと一人祝福するといい、と思う。
 <<
 ※https://twitter.com/finalvent/status/869407422216937472

昔、立花隆さんの本を読んだときに、「独立するなら100万円くらい貯めておけ」といったアドバイスを仕入れたのですが、結局私が物書きになったときはそんなに貯金はありませんでした。2つ先の仕事の当てすらなかったのですから、かなり無謀だったと言えるでしょう。

しかし、「完璧に準備が整ってからフリーランスになろう」と考えていたのでは、たぶんなかなかフリーランスになることはないのではないか、という気もします。もちろん、まったくの準備不足は後々の自分が困るわけですが(困りました)、かといって、完璧を待っていてはいつまでたっても汽笛は鳴らせません。

そもそも私の周りのフリーランスの人をみても、「しっかり準備して」というよりは「なんとなく流れで」とか「他にどうしようもなかったから」という人の方が多いような気がします(バイアスの影響は大いにあるでしょうが)。

私の場合も、コンビニ経営者になるかそれともフリーのライターになるかの二択を迫られて、結局えいや、という気分で決めてしまいました(一応そこには第三の選択肢もあったはずですが、私の脳内にはまったくあがっていなかったことをここにご報告しておきます)。

成功が確約されていたわけでもありませんし、何かの保証があったわけでもありません。うまく行かない可能性もあるだろうな、という思いはやっぱりありました。でも、まあ、いいやと思ったのです。開き直ったと言ってもいいかもしれません。結局のところ自分は自分でしかないし、自分ができること以外のことはできない。その先に失敗が待っていたとしても、それはそれで受け入れようじゃないか、と。

むしろ今の私は思います。成功が確約されてもいない、むしろ失敗する可能性の方が高かったからこそ、そうした選択をした自分自身にほんのりとした暖かさを感じたのではないか、と。もしかしたらそれがfinalventさんのおっしゃる祝福だったのかもしれません。

だって、必ず成功することだったら、どんなbotだって同じように反応するでしょう。そこに差異が生まれる余地はありません。むしろ、どうなるかわからないこと、むしろ自分にとって悪いことが起こりそうだと予想できることについて、「それでも」と選択するような場所にこそ、自我というか個性が息づくのかもしれません。

〜〜〜辞めたくなるよね〜〜〜

以下の記事を読みました。

◇新社会人の3人に1人「会社辞めたい」 入社1カ月で – ITmedia ビジネスオンライン
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/30/news100.html

 >>
 入社してから1カ月、新社会人はどんな思いを抱いているのか?――マクロミルが5月30日に発表した意識調査によると、「会社を辞めたい」と思ったことがあるのは35.5%。2016年調査の30.0%から5.5ポイント上昇し、2年連続の増加となった。
 <<

ごく単純に考えて、無茶苦茶厳しい就職戦線を勝ち抜くために、背伸びしたりはったりかましたり我慢したりして入った会社が、たまたま偶然、自分が望んでいた雰囲気で、かつやりたいことをやらせてくれる会社だった、という可能性は限りなく低いでしょう。だいたい、会社というのは実際に働いてみるまでは、その実体というのはわからないものです。だからギャップが生じるのは当然でしょう。

昔の日本であれば、会社に馴染むのが当たり前、みたいな雰囲気があったのかもしれませんが、それは会社という組織体が強力だった背景があるからで、現代ではその話はほとんど通用しないでしょう。なので、新卒新入社員が辞めたいと思うのは、ごくごく自然なことだと思います。

だから、本当に必要なのはこういう意識調査ではなく、新卒採用時期でなくても、自由に採用できる(してもらえる)風土を作ることでしょう。いくつかの仕事を転々としてみることは、決して悪いことではないと思います。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のストレッチ代わりにでも考えてみてください。

Q. 日常的に何か書き付ける道具(場所)をお使いでしょうか。そこにどんなことを、どんな風に書かれていますか。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

目次

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2017/06/05 第347号の目次
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○BizArts 3rd 「フラットとツリー」
 タスク管理を掘り下げていく企画。連載のまとめに入っています。

○SS 「自分宣言」
 読み切りのショートショートです。

○ノンマケマーケティング「正しい人へ、正しい物語で」
 週替わり連載。今週はマーケターでない人向けのマーケティング話。

○Rashitaの本棚 『情報と秩序』(セザー・ヒダルゴ)
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。新刊あり古本あり。

○物書きエッセイ 「カードはカード」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。

○アイデア・パターン 020 「メタの階段を登る」


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