WRM
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WRM 2017/01/23 第328号

WRM328号が配信されました。

冒頭の「はじめに」を公開しております。


毎週月曜日に、「のきばトーク」という番組をお送りしています。YouTubeライブ(旧Googleハングアウトオンエア)の無料の番組です。

今週で30回目とそこそこ継続している番組なのですが__ウェブ界隈ではやってみたけど続かなかったが非常に多い__、先週の回で、一つ新しい試みを行いました。といっても、放送中にKeynoteの画面を映しながら、トークで出てきた話をまとめただけの簡単なお仕事です。

◇のきばトーク29(YouTube)

その回のお題を決めたときには、概念の見出しだけしか私の頭の中にはありませんでした。中身がまったく空っぽだったのです。そこで尻込みするのではなく、逆に「そうだ、これはブレストする気持ちでやろう」と思い立って、ホワイトボードを持ち出すような気持ちでチャレンジしてみました。結果としてはなかなかうまくいったと思います。

◇完成した図(Twitter)

終了後に佐々木さんに指摘されて気がついたのですが、私は細かい方向性を決めないまま概念や要素を列挙し、それを少しずつ方向付けていく思考の遊びが大好きです(「趣味はブレストです」)。それが仕事の一部みたいになっているのは、たいへんありがたいことでもあります。

あと、何かに慣れてきたら新しい変化を入れてみる、ということも大切だと思います。

〜〜〜■書き物としゃべり〜〜〜

アイデアパターンの004を覚えておらるでしょうか。そうですね、「要素を置き換える」です。

たとえば、私が誰かから「文章だけではなくトークも面白いですね」と言われたとします。すると、私の脳は、すぐさま上記のパターンを無意識に発動させます。するとこんな文章が生まれてきます。

「文章よりもトークが面白いですね」

一見すると褒められているようですが、私の職業が物書きであることを考えれば少し微妙かもしれません。そこで、思考実験として自分がこう言われたどう感じるかをイメージしてみます……。

おそらく少し悲しかったり悔しかったりはするでしょうが、傷つくところまではいかない気がします。媒体(メディア)が何であれ、その受容者が楽しんでくれたのならば、それはそれで良いではないか、と考えているからでしょう。もし100人中95人が、「トークの方が面白い」と評してくれるなら、路線転換のサインかもしれません。

という風に、受け取った言葉をいろいろ換えて遊んでみると、自分の中にある価値観みたいなものがじんわりと浮かび上がってきて、それはそれで楽しいものがあります。

〜〜〜■すべては有意義〜〜〜

「有意義なことをしよう」

と思うのは立派なことなのですが、世の中に存在する大半のことは何かしらの意義を持っていますので、その条件でタスクをフィルタリングしても、ほとんど何も消えません。必要なのは、その「有意義なもの」に優先順位を付けることですが、それをどのように付けるのかが難しいのです。だって、どれも有意義なのですから。

まずこの時点で、「タスクに優先順位を付けるようにすれば、それでタスク管理がうまくいく」という発言が、実用性の面でほとんど役に立たないことがわかります。たしかに、タスクに適切に優先順位を付けられれば、うまくいくのかもしれません。しかしそれが難しいから皆さん困っているのです。問題は、どうやって優先順位を付けるかであり、もっと言えば、何が「適切な」優先順位なのかの判断基準です。それを決める話がないと、「理念だけは素晴らしいノウハウ」で終わってしまうでしょう。

では、「無意味なこと」を減らそう、というアドバイスはどうでしょうか。

これも、ファーストインプレッションではその通りな気がします。が、これも同様に、物事の無意味さをどのように判断すればいいかの話が欠落しているなら、実用性としてはあまり意味がありません。挙げ句の果て、「今は意味があるようには思えないけれども、数年後に価値が出てくるかもしれない」に属する行動がことごとく削除されてしまいます。もっと言えば、自分はその意味に気がついていないけれども、自分にとっては大切なものだった行動を知らずに削減してしまうかもしれません。それはそれで怖いものです。

タスクや情報をいかに管理するのかのノウハウはたしかに大切ですが、それよりも深い位置にある「何が重要なのか」を決める判断についても、タスク管理話では言及してもらいたいところです。

〜〜〜■憎まれっ子〜〜〜

Twiiterを見ながら思いついた理論。

憎まれっ子世にはばかる理論
・人は情報をフラットに摂取することは少ない
 ・自分があらかじめ持っている価値観に沿って解釈することが多い
・誰かが批判的に共有した情報でも、もともと好感を持っている人には好感を持って解釈される
 ・よって批判者の情報のシェアは、すでに批判的な人には批判として、好感を持っている人には好感材料として受け取られる
 ・結果的に、大勢に影響は生まれない
 ・ときには批判者の存在自体が、好感度を上げることもある
・よって批判者の情報のシェアは、好感を持つ人(あるいは持ちうる人)に話題を広める効果も持つ
・成果で見たときに、好感度と批判は相殺しない
 ・好感度が集まれば売上げは作れる
 ・批判が集まっても、マイナスの売上げを増やすことはできない

以上から、批判やヘイト(強い嫌悪感、敵対的意志)をコスト代わりに受け取って情報を拡散し、好感を集める施策が実質的な効果を持ちうる。

とはいえ、この「施策」(とあえて呼びましょう)にも弱点がありそうです。それについてちょっと考えてみてください。

〜〜〜■大型船に乗り込む〜〜〜

以下の記事を読みました。

◇米国で半数の家庭が喜ぶ!?アマゾンの業界破壊的クレジットカード|ビジネスモデルの破壊者たち|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/114774

記事のタイトルにもありますが、アメリカの家庭の半分が、アマゾンのプライムサービスに加入していると言うのです。

 >>
 驚いたことに、すでにアメリカの家庭の半分近くがプライム会員になっており、その数は5400万人に上るという(コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズ調べ)
 <<

率直にいって、少しでもAmazonのサービスを利用するならプライム会員になることは損にはなりませんし、ガッツリ利用するなら圧倒的にコストパフォーマンスが良くなります。よく日本のブログでも見かける謳い文句ですが、「使わない理由がない」みたいなことが、まったくの誇大広告ではないのです。

ここが一つのポイントです。

すでにプライム会員になっている人は、何の心の躊躇もなく「どうせだったらプライム会員になったら?」と知人に勧められるでしょう。そして勧められた人が、実際にサービス内容を確認しても、全方位で納得するはずです。どうみても、行きすぎた優遇施策がそこにはあります。

で、そうして一度プライム会員になれば、その人は次からAmazon以外のサイトで買い物する可能性は激減するでしょう。今後、ネットでの買い物はより盛んになっていくはずですから、その膨大な量の「買い物」を捉まえられるなら、現段階での先行投資なんて安いものです。もちろん、ユーザーも優遇施策を得られるのですから__短期的には__ウィンウィンな関係がそこにはあります。
※長期的にはAmazonの競争相手がいなくなってユーザーにとって不利なサービスになることがありえます。

同じことはGoogleにも言えて、よほどのことが無ければGoogle以外のWeb検索を他人に勧めるようなことはないでしょうし、どうせクラウドツールを使うのであれば、Googleマップ、Googleカレンダー、Gmailを使った方が(機能的に見ても)便利でしょう。一つのアカウントで、いろいろなサービスが使えるのは利便性が高いものです。

そのようにしてGoogleは、自社のWebサービス中にユーザーを囲い込み、そこから利益を生み出しています。Amazonは、Webでの買い物でそれを行っています。

ビジネス戦略においてユーザーを囲い込むことの重要性は良く説かれますが、それを実行するためには、上記二社のような、「どこからどうみても、使わないと損」ぐらいのサービスを提供しないと、圧倒的に差をつけるのは難しいのでしょう。そして、一度圧倒的な差がついてしまうと、資金力の格差から、他社がその差を埋めるのは困難になります。

そう考えたときに、ではWebでのコミュニケーションで囲い込みを成功させているところはどこかなと視線を巡らせてみると、今のところ「覇者」はいないな、という結論に落ち着きます。FacebookもTwitterも健闘はしているでしょうし、Instagramも、Shapchatも勢いよく伸びていますが、AmazonやGoogleほどユーザーを絶対的に囲い込めている印象はありません(※)。むしろ、群雄割拠的な状態というのが、私のイメージです。
※日本国内だけに限定すればLINEが一番その位置に近そうです。

しかし、いずれかは私たちのWebコミュニケーションを囲い込むプラットフォームが出てくるのかもしれません。そのとき、バベルの塔2.0が生まれるのかどうか。そして、私たちのコミュニケーションはどのような「恩恵」と「制約」を受けることになるのか。

それを想像すると、好奇心よりは恐怖心の方が多くなります。買い物と会話は、やっぱり同じではないので。

〜〜〜■「今」と「生きる」〜〜〜

マインドフルネスというわけではありませんが、「今この瞬間」に意識をフォーカスさせる__ときにはそのフォーカスそのものを消してしまう__ことは大切です。

どこまでいっても私たちは「今」の中に生きているので、それをないがしろにすることは人生そのものを欠損させかねません。たとえば、美しい音楽が流れているのなら、ややこしいことは考えずに、その音楽の世界に浸る。そういう時間の使い方は大切ですね。

しかし、一方では私たちは「生きて」います。生きるということは、連続性の中に自分を位置づけることであり、それは自分が持つ役割や責任を忘れないことでもあります。そうしたことについて考えるとき、私たちの意識のフォーカスは「今」を外れ、代わりに俯瞰的になっていきます。まるでWorkFlowyのズームアウトを繰り返していくみたいに。

「今」を大切にしながらも、「生きる」ことを忘れないこと。どちらかに偏りすぎることなく、歩いていくこと。それが「真ん中の歩き方」の一つのコツと言えそうです。

おそらく人間にはそれぞれ傾向があるので、「今すぎる」人は書くこと・整えることを、「生きすぎる」人は手放すことを意識するとよいのかもしれません。

〜〜〜■言葉にならない〜〜〜

自分の中に湧き上がってきた情念を言葉にして整理しようとすると、それを真摯に行おうとすればするほど、どうしても言葉にならないものが浮かび上がってきます。

それがわかるからこそ、「言葉にならないもの」の価値もまたわかるのだという気がします。逆に言えば、はじめから言葉にしようとしなければ、その価値は感じられにくいかもしれません。

〜〜〜Q.〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。

Q. 言葉にならないことについて3分ほど考えてください。     はい、ありがとうございます。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。

目次

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2017/01/23 第328号の目次
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○BizArts 3rd 「第五章 第二節 ツールの補完関係」
 タスク管理を掘り下げていく企画。連載のまとめに入っています。

○でんでんコンバーターで電子書籍を作る vol.5
 でんでんコンバーターを使って電子書籍を作る方法を紹介していきます。

○艱難Think 『権威とその否定に潜む幼稚さ』
 週替わり連載。少しディープめのエッセイです。

○Rashitaの本棚 『ウェブに夢見るバカ』(ニコラス・G・カー)
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。新刊あり古本あり。

○物書きエッセイ 「執筆力向上委員会」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。

○アイデア・パターン 005 「システムで捉える」


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