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『トクシュー!2』(吉野茉莉)

トクシュー!』の続編にあたる作品。

一応前作で完結した形にはなっていたが、人気があったのか二作目も生まれている。喜ばしい限りだ。こういう「大人」の__アダルトという意味ではない__匂いのするライトノベルは数が少ないのである。

藤井太洋氏の『ビッグデータ・コネクト』をIT啓蒙小説だとするならば、本作は金融啓蒙小説と言っていいだろう。それくらい金融やそれに関する犯罪の情報で溢れかえっている。よくまあ、こんなに詰め込めたものだと関心してしまった。まさか、コンビニATMネタだけでなく、ブロックチェーンまで登場するとは。下手なビジネス書を読むよりよいかもしれない。

ストーリーとしては、前作の流れを引きつつ、キャラクターの設定で埋められていなかった部分が補強されている。ミステリー要素もきちんと配置されており、最後まで読者を飽きさせない。ラストもラストで、含みのある終わり方がしてある。さすがに今すぐは難しいだろうが、ネタが溜まってきたらまた続編を、と読者としては期待してしまう。

しかしまあ、カルトな宗教とは怖いものである。日本では、「勤労教」というのがそれに当たるのかもしれないが。

トクシュー! 2 ‐特殊債権回収室‐トクシュー! (NOVEL 0)
吉野茉莉 イラスト:巖本英利 [KADOKAWA/メディアファクトリー 2016]

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