「かーそる」というタイトルについて

倉下忠憲

ついに創刊号が発売となりました。

で、創刊号についていろいろ書く前に、最初に書いておきたいのがこの雑誌のタイトルについてです。

「かーそる」

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私がメンバーに声を掛けたとき、雑誌のタイトルすら決めていなかったので、「どういうタイトルがいいでしょうか?」と皆さんにアイデアを出してもらいました。なかなか投げやりな編集長ですが、一応私も日本で発売されている主要な雑誌のタイトルリストを作ったりして、その傾向を確認したりはしていたわけです。

「雑誌のタイトル」というのは「雑誌のタイトル」でないといけません。何を言っているのかわからないと思いますが、その名前を見たとき(耳にしたとき)に、「ああ、これはたぶん雑誌的なものなのだろうな」と思えなければならないわけです。どういうことかというと、仮にこの雑誌のタイトルを「大辞森」とかにしたら、雑誌ではなく辞書だと思われますよね。つまり、そういうことです。

人々が普段雑誌のタイトルとして聞き慣れている、もっと言えば雑誌のタイトルとしてパターン処理される範疇に収まるものにすること。それが最低限の基準でした。もちろん、メンバーの方々にはそういうことは一切言わずに、自由にブレストしてもらったわけですが。

もう一つ、私なりの基準があって、それは「知的生産」という言葉をタイトルに含めない、というものです。なぜそれがいけないのかは、創刊号を読んで頂ければすぐにわかると思います(遠回しな宣伝)。

とりあえず、いろいろ考えた上で(どう考えたかはまた書きます)、一人の方が上げてくださった「カーソル」という言葉が目に止まりました。いや、心に留まりました。最初はものすごく小さいざわめきでしたが、時間が経つにつれ、「これしかないだろう」という確信へと変わっていきました。たぶんそれは、実際に原稿を書いていくうちに、雑誌のテイストが明らかになりつつあったことと呼応していると思います。

でもって、雑誌内にも書きましたが、もともとの「カーソル」というアイデアの発想源が、結城浩先生のメールマガジンです。

Vol.211 結城浩/再発見の発想法/「どうして?」/妬みについて/対話を通じて深い学びに至る/:結城浩の「コミュニケーションの心がけ」:結城浩の「コミュニケーションの心がけ」(結城浩) – ニコニコチャンネル:社会・言論

この211号に「再発見の発想法」のPDFが添付されており、そこで「カーソル」についてのお話が語られていました。私もそのメルマガを読んでいたはずですが、タイトル候補としてまったく浮かんでこなかったことは面白いことです。同じ情報からでも、人によって連想するものが違ってくる。それが、集団で何かを作り出すことの最大のメリットでもあり、難しさでもあります。

少しだけ「再発見の発想法(メルマガ版)」から引用させていただきます。

カーソルは、現在位置を示す印のことです。

もうこれだけで、全てが集約されています。そうです、この雑誌は「私たちの現在位置を示す」のです。それは「知的生産の技術」のフロントラインであり、ブロガーの最前線であり、セルフパブリッシングの現状を提示するものでもあります。

電話やSNSで誰かと話すときも、カーソルに似た概念が出てくることがあります。それはあなた、いま、どこにいるの?という問いかけです。

私たちはここにいます。「かーそる」はそれを示すコンテンツであり、また書き手と読み手が交差する場所でもあります。少なくとも、そう在りたいと思って、このタイトルを選びました。

個人的にはものすごくしっくり来ています。うん、良いタイトルですね。結城浩先生には改めて感謝の言葉を述べさせていただきます。ありがとうございます。

ちなみに、もしかしたら執筆陣も気がついていないかもしれませんが、かーそるのロゴの「そ」の点が赤いのは、そる→sol(ラテン語)→太陽からの連想です。まあ、これは些末な話なんですが、一応。

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